ともにはぐくむ家づくり
家曳き
今日、家曳きの現場を見せてもらいに行ってきました。

映像で、家を曳いているところは見たことがあったのですが
今日は、家を曳く時のルートになる、レールの設置作業から見学させていただきました。

精密にレベルを計測して、土台をくみ上げていきます。
土台になる木は、色々な寸法のものがあって、ずいぶんと使い古されたもののようです。
これらを組み合わせて、何本ものレールがすべて水平に敷かれるように出来ていきます。

  西面  
   
ほんのちょっと、このくらいでいいか。
なんて、気を抜いたら大変です。
足元を切り取られた家が、ちょっとでもぐらついたら、一巻の終わり。
気長な作業です。
精密な測定と、人間の感。繊細でありながら、重労働
昔ながらの家づくりってこんな感覚だったのかしらと感じました。
家づくりは、やはり時間いくらというような進め方ではないとも。
それは、時間をかけて、ゆるやかに、穏やかに、しっかりと確実に。

組まれたレールの上を家が曳かれだした時。感動ものです!
厳かに、それは何の軋みもなく、すべらかに、レールの上を進んで行くのです。

  レール

今回の家は、平行移動だけでなく、90度回転させる配置になるそうです。
まず、回転軸まで平行移動して、回転。そして定位置までまた平行移動させます。
ほんの1メートルくらい進んで、後ろにはずれたレールを前に設置していきます。

本当に、気の長い作業です。

でも、この家のこれまでの歴史と、これからの歴史から考えると
ほんの一瞬の時のことなんですね
22:26 / 住み継ぐ / comments(0) / trackbacks(0)
木造建築病理学
18、19日と岐阜県美野市にあります、岐阜県立森林文化アカデミーで
「木造建築病理学」の講座を受けてまいりました。

岐阜県立森林文化アカデミーでは、
自然と人との新しい関わり方を探り、持続可能な循環型社会の形成に
寄与できる人材を育成することを目標として
「専修教育・学習部門」「短期技術研修部門」「生涯学習部門」
の教育に取組まれています。

木造建築に特化した教育で、建築系の大学でも学んでいないような
濃い内容の実践教育をされています。

「木造建築病理学」の講座は「住宅医」の養成講座でもあります。
リフォームに際して、建物の性能を抜本的に改善していくために
現状を正確に把握し、診断を下し、改修工事の計画を立案するための
知識と技術を学ぶ事が出来ます。
その科目履修生として、二年間、集中講義をうけることになりました。

今回は、後に実習で行うことになる詳細調査から改修工事までの事例報告と
建築病理学の概論、詳細調査の目的・内容と手順、木材の腐朽と防腐対策、
各種検査機器と使用法についての講義内容でした
検査機器は実際に使ってみる実習もありました。

戸建住宅の場合によく使われる地盤調査方法の一つ
「スウェーデン式サウンディング試験」
名前の通り、スウェーデンで始まったそうです。
試験データはいつも見慣れていたのですが、そのデータの中に
ストン、スルスル、ガリガリ、ジャリジャリ
なんていう項目があって、なんか人間っぽい表現で面白いなと思っていましたが
実際にやってみると、ホントにそんな表現がぴったり
「うん。ガリガリだ。 あっ!ジャリジャリに変わった!」
地盤の良し悪しが、体で分かるって感じです

        サウンディング試験
20:04 / 住み継ぐ / comments(0) / trackbacks(0)
お宅訪問記 −K邸編−
以前設計させていただいたお宅を訪問して感じたこと、反省点などを
ちょっとまとめてみました。

こちらのキッチンは、すべてルオリジナルでつくりました。
リフォームの場合、限られたスペースで充実した空間にしていく時は
既製品での対応では限界があります。

食事するカウンターは、後ろに通行できるスペースは確保できませんでしたが
家族の使い勝手からすると、それはほとんど必要なさそうでしたので
何よりもお母さんの充実したキッチンライフを優先です。

キッチンカウンターの高さは、80造お母さんにぴったりでした。
今回のリフォームにあわせて、椅子も新しく買い替えされるとのことでしたので
スペースやすわり心地、新しく出来るキッチンのイメージなどを総合して考えて
モノ・モノオリジナルの「親子の椅子」をおすすめしました。
座面の高さが38造任
低いと思われるでしょ
でも、実際に座っていただくととても楽だし、落ち着きます。
椅子ってもともと西洋のものなので、そのままのサイズだと
身体にも負担ですし、部屋の中でとても圧迫感のある物体になってしまいます。
椅子を選ぶ場合は、私は必ず座ってみていただくようにしています。
今回は、「親子の椅子」が実際には無かったので兄弟分の「男の椅子」
座っていただきました。
そして対面のカウンターの高さは、椅子にあわせて、60
オリジナルでつくると、ぴったりでゆったりできる自分サイズのキッチンができます。

料理屋さんに来たみたいなカウンターです。
ここに座ると、お母さんの手料理が後から後から出てくるのです。
おいしいってうれしそうに食べる人と向かい合って料理できる事が
生きがいにも通じているんでしょうね

さて、反省点
前に伺ったときには、魚を焼くと焦げるから魚焼器を買ったっていわれていたので見たら、焼き網の取付け位置が違っていました。
洗ったあとでどこにはめるか分からなくなったそう。
今回は、換気扇を分解掃除したら、枠がプロペラに当たるようになってしまったとのこと。
はめてみたらすんなりはまったのだけど。。。
簡単そうな事でも、お年を召してくると難しかったり、
さらにこちらのお母様は、とってもマメに掃除される方で、普通であれば表面だけ拭けばいいような掃除を分解掃除までされちゃうので戻せなくなったみたいです。
お母さんの掃除好きは分かっていたので、なるべく掃除する部分を減らしたり、しやすいようにと配慮したものの、限界もありますね。
そうした部分を解消するには、やっぱり竣工後にもっと頻繁に訪問して住まい方などのお話をするのが一番なんでしょうね
19:05 / 住み継ぐ / comments(0) / trackbacks(0)
祖谷の民家
徳島県の祖谷にある民家の見学に行ってまいりました。

最初に訪れた木村家住宅。

国指定重要文化財に指定されていて、元禄12年の建築という事ですが
今でも、住まわれているそうで、中は見学できませんでした。残念

木村家

でも、石垣を登って、山茶花のアプローチをくぐるなんて
素敵ですよね
木村家   木村家アプローチ

次に訪れたのは「アレックス家」通称chiiori
東洋文化研究家のアレックス・カー氏が大学生の時に祖谷に魅せられ、ここを購入されたそうです。
著書『美しき日本の残像』

アレックス家

アレックス家

なんとも贅沢に思えます。

でも、実際に住んでいると、とても寒いそうです。
夏を旨としてつくられた、日本の民家は冬は本当に寒い。

そして、東祖谷落合集落
ここは、伝統的建造物群保存地区に指定されています。
山の間を縫って行くと、ふっと目に留まるスポットがここでした。

落合集落

平家の落人達が、追っ手をおそれ、急斜面に開拓した村々の中でも
この集落がやはり目に留まる景観を残していると感じます。

しかし、すごい斜面に切り開かれた集落です。
こんなところで農作業をするなんて、信じられない。

落合畑   落合眺め

こけたらまっさかさま

ここでの生活はやはり厳しいようで、集落に暮らすのはみんな高齢者の方々
あと何十年か先には、かつてここに人が住んでいた。
ということになる運命なのでしょうか。

住み継がれて来た日本の家々が、途絶えてしまいそうになっています。
かつての暮らし方が、今の世の中では成り立たないようになっているなんて
受け継がれてきた、日本の暮らし、住まいはどうなっていくのでしょうか

近代化のスピードって、人のスピードに合っていたのかしら
最近、よく思うのです。



17:27 / 住み継ぐ / comments(0) / trackbacks(0)
耐震改修だって、楽しくできる
岡山県の木造住宅耐震診断員になっているので
たまに、耐震診断に行く事がある。
最近は、各地で地震が頻繁に起こる様になったためだろう。
耐震診断をされる方が増えてきたように思える。

小屋裏に上り、床下をはいずり、
けっこうハードな作業となるが、意外と楽しい。

耐震診断をされる住まい手は、比較的、家に興味を持っている方が多いようで、
診断以外でもいろいろと質問をされる。
そんな時がとても楽しく感じられる。

どうやって耐震改修するかなども、住まい方にあわせて
いろいろなバリエーションが考えられる。
単に、建物の耐震性能を向上させるだけなんてもったいない。
本が多いお宅なら、ぜひ本棚を兼用した耐震壁の増設をお奨めする。

また、子供が巣立った跡の家は、比較的、2階の子供部屋が収納部屋になっていたりする。
わざわざいらないものを背負い込んで、耐震的に不利な状況を作ってしまっているばかりでなく、
日差しのあたる部屋を荷物に占領されて
実生活が縮こまっている場合が見受けられる。
思い切って、減築(増築の反対、2階建てを平家にするなど)という手法で、耐震性能を高める事も
老後を考えた場合には魅力的な方法と言える。

耐震的に有利な建物は壁が多いだけではない。
壁自体の強さや、バランスが大きく関係する。
だから、今より開放的な家にしつつ、耐震性能を向上させることだって
きちんと設計すれば、可能となる。

建物の耐震性や断熱性など、リフォームと合わせて、トータルで考えると
想像以上に家が楽しく生まれ変わる。

そんな話や、建物を長持ちさせるための、日常の住まいのメンテナンスの話をしながら、
診断中も、興味深げに一緒に家を見て回られる。

色々な家族が住んできた家の現在を見聞きすることは
住まいのあり方を考える場合にとても勉強になるし、
なにより家を大切にしようとしている住まい手との話は、
とても楽しく感じられる。
15:26 / 住み継ぐ / comments(3) / trackbacks(0)
福田首相辞任で200年住宅はどうなる?
日経BPのケンプラッツの記事である。

「200年住宅ビジョン」については、過去にも書いたので
内容はそちらをご覧頂きたいと思いますが

記事によると、国土交通省の担当官に電話をかけて首相辞任による影響を確認したとのこと
20年度の予算成立している「200年住宅のモデル事業」には影響ないという。

なにか、釈然としない。

年度単位でしか物事を考えられないのか。

確かに、短期に結果を求められる風潮に、政治家も人気がなくては続けられない世の中ではあるが

そもそも200年住宅ビジョンの目指したものは何だったのか。
30年と言われる今の日本の住宅の寿命がもたらす弊害を取除き
豊かな住生活を目指していたのではないか

長持ちする高価な住宅そのものが「200年住宅」だといわんばかりの宣伝にはうんざりしていた。
またしても大手ハウスメーカーの宣伝文句に利用されてしまった。

豊かな住生活とは何か。
これは本当にしっかりと考え直さなくてはいけない事だと思う。
「200年住宅ビジョン」はそのきっかけとなり得るものと最初は思ってた。

今の様な「200年住宅」であれば
いっそのことチャラにしてしまって、真剣に考え直した方がいいようにすら思えてしまう。
18:26 / 住み継ぐ / comments(0) / trackbacks(0)
『住み継がれる家』
いままでの日本の住宅政策は、誰でも家がもてるように「量」の確保にありました。
この政策を転換し「質」の向上を目指すのが『200年住宅ビジョン』です。

ローンを払い終わってみたら、家の寿命も終わっていた。。。
なんてことにならないように、高耐久の建物を維持管理しやすいシステムを作ることでロングライフ住宅を建てて、トータルで住宅にかかわる費用を減らしていきましょうということがうたわれています。
税制面からも優遇措置が検討されています。

ただ、性能的な「質」の向上のみが『200年住宅ビジョン』の目指すロングライフ住宅とはなり得ないと私は考えます。まずは長く住み続けていこうと思える家づくりがされなくては、単に建設費用が高くなるだけに終わってしまいます。

まず、今までの家づくりの目指していた方向を考えてみましょう。

戦後家づくりは「量」の確保にむけて工業化をすすめ、作り手を増やし、熟練者でなくてもつくれる家づくりを進めてきました。
そうした中で家づくりは私たちの日常から離れ、一生に一度、初めて経験するよくわからないものになってしまったようです。私も建築を学んで始めて知ることが多くありました。
建築の道に進んで始めて知った建物の材料や名称のことなどを祖母はそこに使われる適材を含めてよく知っていました。子供のころから周りで家が建つときには近所のうんちく親父が教えてくれたそうです。そうやって家づくりの知恵が引き継がれてきていたわけですね。
土塗り壁の現場を体験して始めて知った、土の作り方や、土を寝かせておく「土場」なんて話を家に帰ってすると、父も「昔は町角に土場があってなぁ〜。」などと。
建築を学んだ私たちですら、実体験が乏しいのですから。一般的に考えると、まさに「よくわからない世界」になるのでしょう。

人々が、暮らしの中で作り出してきた家づくりの知恵は、経済の急速な初展のなかで、「人」ではなく、「経済」の方を向いて変換してきたように思います。
「買う家」「売る家」。家は「商品」として扱われるようになって来ました。その結果として、売る側からすれば「売れる家」の追求となってしまわざるを得なかったわけです。

『家づくりは家族づくり』これは私の家づくりのConceptでもあります。家は「買う」ものではなく「つくる」ものです。自分たちの幸せを深く見つめ、つくりあげていくものです。
家族がその家で将来にわたって幸せに暮らしていくことを考えた場合、要望と違った提案をさせてもらうことがあります。本当にその家族に寄り添って考えたら、ついおせっかいをやいてしまいたくなります。けれども経験を積んだ設計者としては当然の義務だと思っています。
そうした提案を自分たちの場合はどうなんだろうとしっかり考えてもらいます。そうした経過を経ていくことで、その家族にとっての「愛着の持てる家」ができていくのだと思います。
よくわからないまま、今の知識や趣味嗜好で買った家の場合、長く愛着を持って住み継がれる家にはなりにくいでしょう。
私が思う『住み継がれていく家』とは、家族がお互いを思う気持ちが充分にこめられてつくり上げられ、その過程を含めて家族が幸せを育てていける家です。
家づくりはそうであってほしいと願います。
15:35 / 住み継ぐ / comments(0) / trackbacks(0)
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